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1月の読書

1月8日(木)  「ガラテイア2.2」 (リチャード・パワーズ著) みすず書房


 2000年春、処女長篇「舞踏会へ向かう三人の農夫」によって、日本の読書界に彗星のごとく登場し、たちまち席巻した現代アメリカ文学の若き鬼才、リチャード・パワーズ。彼の90年代の代表作が、いよいよその姿を現わす。「ガラテイア2.2」。ギリシア神話に名高い女性の名前をタイトルに掲げた本作のテーマは、ずばり人工知知能ピグマリオンは女神アフロディテをモデルにして、理想の女性像を彫刻でこしらえた)。何故か私にとっては最初の作品は、「われらが歌うとき」でした。

 主人公は、その名も「リチャード・パワーズ」。既に話題作を幾つか発表し、将来を嘱望された新進作家である。自らの出身大学に設置された先端科学研究所の客員研究者として招聘された彼は、偏屈な天才(?)科学者レンツ博士と出会うことになる。博士は「人工知能は文学を解釈し、理解しうるか」という究極の実験プロジェクトに取り憑かれ、いつしか主人公も抗いようなく、その試みに心身共にのめり込んでいく……。

 マシンH号機は、ヘレンと名付けられ、言葉が教えられ、人間世界のさまざまな事物を教わるにつれてパワーズが情愛に似た気持ちを抱くようになる。リチャードをめぐる過去および現在の女性たちの物語を絡ませつつ進行する。そして最後のまとまりは感動的です。ここまで読んできた甲斐があった。人間とは、心とは、そして生きるとは・・・
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1月13日(火)  「イラクの小さな橋を渡って」(池澤夏樹/本橋成一)光文社


 もしも戦争になった時、どういう人々の上に爆弾が降るのか、そこが知りたかった―。イラク戦争開戦前夜、実際に現地に入った著者が見たのは、人々の普通に人間的な暮らしだった。その後戦争が強行され、多くの不条理な死者が出てしまった今、我々がなすべきこととは。現地の姿を文と写真で綴り、戦争の現実を突きつける旅行記録。

 「君のためなら千回でも」という映画を観てから、その原作やアフガニスタンを舞台にした作品を読みたいと思った。図書館の予約待ちの間に何気なく手に取ってみたのがこの本でした。

 この戦争を止められなかったら、次の戦争も止められないだろう。国際政治を動かすのは議論ではなく武力ばかりになるだろう。ナシリヤの町で、一人の男がロータリーの縁石を白と緑に塗り分けていた。走る車の中から一瞬見ただけだが、ペンキの刷毛を動かすその手の動きをぼくはよく覚えている。世界中どこでも人がすることに変わりはない。自分と家族と隣人たちが安楽に暮らせるように地道に努力すること。それ以外に何があるか。まだ戦争は回避できるとぼくは思っている。(あとがきより)

1月17日(土)  「蛍」 (吉村昭著) 中公文庫


 刑務官が死刑執行時の支え役を引き受けたことで与えられた特別休暇で出かける新婚旅行での心の揺れを描いた「休暇」の映画のことが地方紙に2度も載っていた。<命と暮らし・家族、社会などについて止めどなく思いが巡るこの映画を、多くの人に観てほしいと思った>(高見優・社会福祉士)
       
 吉村昭というと、「破獄」「冷い夏、熱い夏」「仮釈放」「高熱隧道」などの長編は昔よく読みました。<ささやかな生活のなかに潜む非現実をとらえて、心にしみ通る、忘れられない小説>を味わうことができました。
 角膜移植手術に全神経を集中させる、医師の不思議な日常を追う「眼」
 幼い弟を川で事故死させた少年の内心を見つめる「蛍」など・・・
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1月20日(火)「君のためなら千回でも」(カーレド・ホッセイニ著)ハヤカワ文庫


 「君のためなら千回でも!」召使いの息子ハッサンはわたしにこう叫び、落ちてゆく凧を追った。同じ乳母の乳を飲み、一緒に育ったハッサン。知恵と勇気にあふれ、頼りになる最良の友。しかし十二歳の冬の凧合戦の日、臆病者のわたしはハッサンを裏切り、友の人生を破壊した。取り返しのつかない仕打ちだった。だが二十六年を経て、一本の電話がわたしを償いの旅へと導く―全世界八〇〇万人が涙した、衝撃のデビュー長篇。 (上巻の裏表紙)

 映画を観てすぐにでも読んでみたくなり注文した。昨年鑑賞した「つぐない」(=「贖罪」)を思い出しました。下巻は主人公のアフガニスタンでの様子が語られます。ラストは映画では簡単になされたように進みますが、小説ではそれなりの月日が必要だった様子が書かれてました。(ネタばれになるので内容は書きません)
 
 映画も観て欲しいし、小説も読んで欲しいと思った作品です。同じ作家の「千の輝く太陽」も読む予定です。

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地味映画推進委員会

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   <委員会メンバー>    つるばらさん rambling rose (委員長)

    瞳さん Tea Please   ポルカさん Johnny Depp+Cinema fan

    カポさん deax et deax   ゆーこさん be-in

    みみこさん ちょっとお話    REIさん 正しい映画の見方を考える村民の会

 わたし<やまさん>の地味映画の紹介です。タイトルにマウスをのせるとより詳しいページになります。「君のためなら千回でも」は<アフガンを考える>を見てください。

  アメリカの時計 大恐慌下のアメリカで繰り広げられる、さまざまな人々の価値観と揺れ動く心を描く感動のヒューマン・ドラマ。原作はA・ミラーの作品。劇場未公開の作品で、ビデオが発売された。愛の本質って何なのか考えてしまう。出演者はTV出身者か。

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  草の上の月 女流作家N・B・エリスの自叙伝を映画化した、実話に基づく愛のドラマ。エリスの恋人で1930年代の小説家ロバート・ハワード(「コナン・ザ・グレイト」の原作者)の関係をみつめつつ、自由奔放なハワードを捉えた。L・ゼルウィガーがヒロインを好演。

  趣味の問題   高級レストランのウェイターのニコラが、高名な実業家でもある美食家ドゥラモンの味見役として雇われる。夢のような生活を満喫するニコラだったが、彼を自分の分身に仕立てようとするドゥラモンの欲望を知り・・原作を濃密な心理サスペンスに仕上げた。 
 
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  スカートの翼ひろげて  第二次世界大戦下のイギリス。戦場にいった男たちに代わって、女性たちが農業に従事するランドガールズを結成。自ら応募した3人の女性が田舎町で、農作業に精を出す一方で、恋に揺れ動きながら生きることの素晴らしさを鮮やかに描き出した。R・ワイズやK・マコーマックの美人女優が好演。

  オスカーとルシンダ   ギャンブルのために社会から偏見の目を向けられるふたりの出会いと恋を感動的に描く。ピーター・ケリーのブッカー賞受賞作の映画化。ラスト、人生最大の賭けに挑戦する。R・ファインズとC・ブランシェットの主演もいい。 

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  フェリシアの旅   カナダの鬼才、A・エゴヤンが、W・トレヴァーの原作小説に童話「美女と野獣」のイメージを加味して映画化したサスペンス・ミステリー。アイルランドからイギリスにやって来た17歳のフェリシア。彼女はヒルディッチという優雅な中年紳士の世話になるが・・。B・ホプキンスの不思議な存在感が印象的。  

  美術館の隣の動物園   シナリオ・ライターを目指すチュニは結婚式のビデオカメラマン。ある日、彼女のアパートに、兵役休暇中のチョルスが入ってくる。奇妙な始まりから、ふたりの気持ちの通い合いが淡々と丁寧に描かれる。美術館と動物園でくりひろげられる夢の物語もいい。シム・ウナも魅力的。

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  季節の中で  サンダンス映画祭でGほか3冠に輝いたヒューマン・ドラマ。現代のサイゴンで人生の転機を迎える人たちの人間模様が綴られる。蓮は泥の中に生え、美しく威厳のある花を咲かせる。ヴェトナムが体験してきた戦争や辛い過去の泥沼から立ち直った国民を象徴している。鮮やかな映像を伴ったラストが感動的でした。

  ダーク・ブルー  ’39年、第二次世界大戦下のチェコ。チェコ空軍教官のフランタとその部下で親友のカレル、英国人の女性スーザン。3人をめぐる友情と恋を軸に、戦争や全体主義体制の不条理を浮き彫りにした本核戦争ドラマ。宮崎駿監督も絶賛した。

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  敵、ある愛の物語   戦争の悲劇か? 3人の女性と重婚するこことになった男のおかしくも苦い愛の物語。ユダヤ人亡命者社会という異常な状況の中での懸命な生き方や迷いが愛と絡めて実によく表現されているし、この辺をよく踏まえた映画でもある。原作読んでるのですが感想が・・

  ザ・カップ/夢のアンテナ   中国から侵略されて国を追われた亡命中のチベットの修行僧がワールドカップを見ようと奮闘する映画です。ほのぼの、という感じの映画です。 現地僧院でオールロケ、プロの俳優が一人も登場しない意欲作。

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  秘密と嘘  養子として育てられた女性が実の親を探し、その家族の中に入っていくことから明かされる、家族をめぐる<秘密と嘘> そこから生まれる新しい家族の姿と和解が描かれます。カンヌ映画祭パルムドール大賞、主演女優賞(ブレンダ・ブレッシン)、国際映画批評家連盟賞を獲得する。

  天空の草原のナンサ  ドキュメンタリー映画の中にファンタジーが入った感じの不思議な映画です。モンゴルの風景と遊牧民の生活に目を釘付けにされる!

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フランシスコの2人の息子  小さな田舎町の貧しい小作人の息子が、ブラジルの音楽界を代表するアーティストに成長するまでの紆余曲折を描いた感動作。 
  

  

アフガンを考える

1月11日(日)     「君のためなら千回でも」

 1978年冬、アフガニスタンの首都カブール。12歳のアミールは、ハザラ人の親友ハッサンと仲良く遊ぶ日々を送っていた。アミールは父ババと共に恵まれた生活を送っており、ハッサンは父アリと共にアミールの家で召使いとして働いていた。
 恒例の凧合戦の日、子供たちは二人一組で糸巻きと糸の操作を分担して、巧みに糸を操り他の凧の糸を切るのを競っていた。街中の人々が勝敗に熱狂するこの凧揚げで、アミールとハッサンは見事優勝する。しかし、凧を拾いに行ったハッサンは、日頃からハザラ人のハッサンを嫌っているパシュトゥーン人のアセフたちに襲われてしまう。ハッサンを探しに行ったアミールはその現場を目撃するが、何もできずその場を去ってしまう。それを機に二人の間には距離ができたまま、1979年にソ連によるアフガニスタン侵攻が始まり、アミールは父と共にアメリカへと亡命する。
 2000年、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコ。アミールと妻ソラヤのもとに、アミールの初めての本が出版社から届く。そこへ電話がかかり、アミールはパキスタンにいるラヒム・ハーンを訪れ、パキスタンからタリバン独裁政権下の故郷へ向かうことになる。
 原作(=右の画像)の脚本をデイヴィッド・ベニオフ (=「25時」を書いた作家)、サム・メンデスが製作総指揮、マーク・フォースター監督により映画化される。
中々いい映画でした。是非見てほしい作品です。原作も注文しました。(ハヤカワepi文庫)

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 関連して朝日新聞(1月8日)に、<アフガンを読む>人々の姿に近づきたいという記事と本3冊も紹介しておきます。

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 オバマ次期米大統領が、兵力増派の方針を明らかにしたアフガニスタン戦線の行方は日本にも影響が大きい。欧米では、男性優位の社会から抑圧を受ける、アフガニスタンの女性を描いた、男性作家による小説が目立っている。
 11月に決まったフランスの権威ある文学賞・ゴンクール賞は、元アフガン難民作家が夫や社会から抑圧される女性を描いた小説「シンゲ・サブール 忍耐の石」だった。
 一方、米国ではカーレド・ホッセイニ 『千の輝く太陽』 (土屋政雄訳、早川書房)が07~08年に大ベストセラーになっている。アフガンの激動の歴史、とりわけ30年近く続く戦乱に運命がかえられ、夫や社会の暴力に苦しむ女性2人の魂の交流と、自由を求める行動を描く。
 65年にカブールで生まれたホッセイニは父親が外交官。15歳で家族と米国に亡命し、医師になった。03年、初めての小説 『君のためなら千回でも』 (佐藤耕士訳、早川書房)で、伝統的なたこ揚げ遊びをする少年たちの友情と裏切り、成長してからの贖罪を描いてベストセラーになり、映画化もされた。
 2作とも、シルクロードの十字路としてパシュトウン、タジク、ウズベク、ハザラなどの多民族の歴史や豊かな文化、軍閥の対立なども巧みに織りこんだ。しかし、読後、もどかしさがある。アフガンの伝統社会やタリバーンの、女性への抑圧や暴力はひどい。しかし、それが現在のアフガン戦争で、米国や多国籍軍の側からの視線に転化されそうな危うさを感じるのだ。
 フランスで女性名で活動しているアルジェリア系作家ヤスミナ・カドラの、タリバーンの恐怖政治が2組の夫婦を追いつめていく 『カブールの燕たち』 (香川由利子訳、早川書房)を読んだ時にも、同じことを感じた。
 別の視点があるのは、現地で医療活動した女性産婦人科医の体験談である梶原容子 『アフガニスタン母子診療所』 (白水社)。性体験の有無を診断してもらいにきた少女に、事実と違う診断をする話がでてくる。処女でないと、名誉を守るために、少女は父親や婚約者に殺されてしまう。そんな、想像を超える文化の違いの話が続く。
 屋外では全身をブルカで覆う女性たちも、女同士では下ネタ乱発でおしゃべりする。男女問わず現地スタッフは、出産を助けるため、機転を働かす。そのたくましさは魅力的で、印象は明るい。
 しかしながら、現地に危険が及ばないように、地名やスタッフの名前だけでなく、著者自身の名前も変えてあると断った「あとがき」に、過酷な現実がむきだしになる。
 いま「アフガニスタン」を読むことは、どうやら単純にはいかないが、それでも、小説やノンフィクションを通して、人々の姿や生活に少しは近づきたい。(由里幸子)

<アンジェラ再び>ほか

12月23日(火)    「あの日の指輪を待つきみへ」

 映画館でこの映画のポスターを見てから、次回観ることにしていた。映画館まで行ったのですが渋滞で遅れすぎて観れなかった作品でした。
 事実に基づいた作品で、監督がリチャード・アッテンボローであることやヒロインを名女優シャーリー・マクレーン(少し言い換えるとヒロインの若い時のミーシャ・バートン)が演じてるから。大切な人を思いやる深い愛情や、固い絆で結ばれた友情を描いた哀しくも美しい作品である。
 1991年アメリカ。長年連れ添った夫を亡くしたばかりのエセル・アンは、アイルランドの青年ジミーから突然の電話を受ける。エセルの名とテディという名が刻まれた指輪をベルファストの丘で発見したというのだ。50年前、永遠を誓った愛を失い、以来心を閉ざして生きてきたエセル。夫の死に涙ひとつ見せず、娘のマリーに冷たいと非難されても決して心の内を語らなかった彼女に、封印した過去と向き合う時がやって来る。
 
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 アメリカの航空学校の親友同士の3人テディ、ジャック、チャック。彼らはそれぞれ美しいエセルに思いを寄せていたのですが、ハートを射止めたのはテディ。ジャック、チャックは二人を祝福します。3人は航空兵として戦争へ向かう。テディは、自分に万が一のことがあったら、エセルを頼むと。そうして、実際、テディは事故で亡くなってしまう。テディに指名されていたチャックが、エセルと結婚することになるのですが・・・

1月8日(木)  「アンジェラの祈り」 (フランク・マコート著 新潮クレストブック)
 
 1949年10月、10歳のマコートは、単身夢の地ニューヨークに降り立った。故郷リムリックでの惨めな生活を振り棄て、豊かな生活を得るために。しかし彼を待っていたのは、幾重もの劣等感に苛れ、数知れぬあてはずれに落胆を繰り返す日々だった。様々な職や兵役を経験し、大都会でもまれつくした後に、とうとうこぅ公の教師となって居場所を得たマコートが、母アンジェラを呼び寄せ、遂にその灰を故郷に撒くまでの波乱万丈を、前作に劣らぬ名人級の語り口で描いた、回想録の傑作「アンジェラの灰」(画像=右 映画化もされた)の完結編。 
                         
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 ”ぼく”から”私”へ。語り手の成長に呼応して、回想は前作を凌ぐ面白さと多様なエピソードで彩られる。
<父が死んだ年、1985年の8月に、私たちは母の遺灰を最終的安息の地、リムリック市郊外のマングレット修道院墓地に運んだ。・・・かつてウェンブリーホールで羽根のように軽く踊り、すばらしくうまく歌うことができたアンジェラの、その灰を・・・>

新年です!

プロフィール

やまさん

Author:やまさん
 趣味はいろいろあるのですが、時間とお金の使い方が巧くいかない。
(時間があるときに限って、お金がなかったり)
映画鑑賞、読書(映画の原作を先に読むことも多い)
登山(ハードな山登りもこなすために日頃のトレーニングで汗をかく)
釣り(防波堤や浜での海釣り)
コンピュータのソフトを使い、書籍や雑誌、切り抜きの整理・・

 気軽に何でも書き込みして下さい(場所も気にしないでいいです)。

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