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聖灰の暗号

12月30日(火)   「聖灰の暗号」

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  歴史学者・須貝彰は、南仏の図書館で世紀の発見をした。異端としてカトリックに憎悪され、十字軍の総攻撃を受けたカタリ派についての古文書を探りあてたのだ。運命的に出会った精神科医クリスチーヌ・サンドルとともに、須貝は、後世に密かに伝えられた“人間の大罪”を追い始める。構想三十年、時代に翻弄された市井の男女を描き続ける作家が全身全霊をこめた、歴史ミステリ。(上巻)

 長き眠りから覚めた古文書は、須貝たちの胸を揺さぶった。神を仰ぎ慎ましく暮らしてきた人びとがなぜ、聖職者により、残酷な火刑に処されなければならなかったのか。そして、恋人たちの目前で連続する奇怪な殺人事件。次々と暗号を解いてきた須貝とクリスチーヌの行く手には、闇が顎を開けていた。遙かな過去、遠きヨーロッパの地から、いま日本人に問いかける、人間という名の難問。(下巻)

 フランス人友と、聖灰の地を訪れて30年、この作品であなたは、宗教の救いとともに、悪と毒をも理解するはずです。(帚木蓬生)

 鳥が飛び兎が跳ねる。それなのに私は悲しい。
 生きた人が焼かれるのを見たからだ。    焼かれる人の祈りを聞いたからだ。
 煙として立ち昇る人の匂いをかいだからだ。 灰の上をかすめる風の温もりを感じたからだ。
(本文より)

 100頁に及ぶレイモン・マルティの手稿が説得力がある。異端として虐げられた者たちの声を、圧殺された側の人間たちの姿を見事に映し出している。マルティ自身は、ドミニコ会修道士であり、いわば弾圧した側の人間。しかも彼の両親がともにカタリ派であり、尋問の末に火炙りの刑に処されていたことにも驚く。若き歴史学者の主人公と運命的な出会いをする精神科医クリスチーヌ・サンドル、ピレネー山中で偶然出会ったナイフ作りのエリックとその妻エリーズなど個性的な人物も登場する。十字軍に関する本も気になる。今年、塩野七生の「十字軍」が出版される!
   
 「記録を残さなかった男の歴史-ある木靴職人の世界 1798-1876」(アラン・コルバン著 藤原書店)、
 「異端カタリ派」(フェルナン・ニール著 文庫クセジュ)なども読んでみたくなる。

 
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湖のほとりで

12月23日(水)       「湖のほとりで」  
      
mizuumi.jpg北イタリアの小さな村の湖のほとりで、美しい少女アンナの死体が見つかる。殺人事件として捜査の陣頭指揮をとるベテラン警部のサンツィオは、争った跡がないことから、顔見知りでしかも彼女を深く愛していた者の犯行と推測する。アンナを溺愛していた父親、第一発見者のマリオとその父親、恋人のロベルト、ベビーシッターをしていた赤ん坊の両親らの証言から生前のアンナの実像に迫りつつ容疑者を絞り込んで行くのだった…。

人は愛ゆえに憎み、傷つけ、苦悩する。やるせない秘密を抱えながら。そんな心のひだを静謐さの中にも鮮烈に浮かび上がらせた新鋭アンドレア・モライヨーリは、「赤いシュート」「息子の部屋」の異才ナンニ・モレッティの助監督を長年つとめ、この初監督作でイタリアのアカデミー賞にあたるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で史上最多の10部門独占の快挙をやってのけた。

  ノルウェイ出身の”ミステリーの女王”カリン・フォッサムの原作(「見知らぬ男の視線」)はヨーロッパほか20カ国で翻訳・出版されている。「ノルウェイのフィヨルドを舞台に家族の問題や絆が描かれたこの小説を原作に選んだのは、この物語の持つ固有の人間性や感覚を変えることなく、舞台をイタリアに移して描ける可能性を見出したからだ」と話す監督は、北イタリアのフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州へと舞台を移して本作を作り上げた。

 日常生活の中で抱える苦悩や葛藤が、静かな演出の中で見事に描かれている。そして、アンナが貫いた信念や愛が伝わってくる。ミステリーというよりも上質な人間ドラマである。原作も気になります。

ジョディ・ピコー再び

12月20日(日)   「19分間」  ジョディ・ピコー著  (イソラ文庫)

19jou.jpg19ge.jpgスターリングは平穏な町だった―3月のある日、高校で銃乱射事件が起こり、多数の生徒の未来が損なわれるまでは。校内で人気の女子生徒ジョージーは、目の前で恋人を殺され、事件が起きていた19分間の記憶を失う。犯人は、幼少時にはジョージーと親友だった同級生のピーター。なぜ彼は凶行におよんだのか?どうしてジョージーは銃を向けられながらも射殺されなかったのか?町中が悲嘆に沈むなか、裁判がはじまり、事件の背景が明らかになってゆく。

  高校での銃乱射事件の余波に震えるスターリングの町で、ジョージーは少しずつ回復していくが、依然として事件当時の記憶は戻らない。彼女を見守る親や友人たち、町の人々の思いを巻き込みつつ裁判は進む。そして、犯人の少年ピーターのため奔走する弁護士ジョーダンから証言を要請されたジョージーが、ついに思い出したその19分間とは?学校で自分らしく生きることの難しさ。友情のはかなさと強さ。親となること、子を育てること、ともに生きていくことの苦しみと喜び。

「私の中のあなた」「偽りをかさねて」「すべては遠い幻」と読んできましたが、テーマも話の展開も実に見事な作品です。この作品も更に上を行く作品でした。一人ひとりの個性がきちんと描かれていたし、最後の展開も凄い! 涙が止まらない全米ベストセラーは裏切らない。読みごたえも十分です。
「一作ごとに重いテーマを扱って問題提起しているのに、けして社会派に寄らず、エンターテイメントとして一級品に仕立ててくるのが、ピコーのすごいところ。物語の後半の裁判シーンはいつもながら読み応えがあるし、ピコーらしい仕掛けも用意されているので最後まで気が抜けない。捜査の指揮を執る刑事とアレックスとの関係の発展で、ストーリーにも救いを与えているのが心憎い」(訳者あとがきより)

    第5作「The Pact」(1998)も近刊予定とのこと。第9作「Perfect Match」(2002)なども楽しみです。

白い紙/サラム

11月26日(木)   「白い紙/サラム」   シリン・ネザマフィ著 (文芸春秋)

     whitepaper.jpg

 文学界新人賞を受賞した「白い紙」はイラクとの戦争下のイランの高校生の淡い恋を描く。学業優秀な少年ハサンは「白紙」の将来に、大学に進学し医師になるという夢を描こうとする。だが、父が戦場から逃げ運命は急変する。「自分が描けるのはこの白い紙の、半分だけだ」と漏らさざるを得ない現実が切ない。一方、留学生文学賞を受賞した「サラム」は、東京入管が舞台。アフガニスタンから戦火を逃れ来日した少女と通訳の「私」は、難民認定を求め、裁判を争うが、ある事件がすべてを押し流す。ともに個人にはどうしようもない戦争や国家という存在の不条理が胸に刺さる。

 「白い紙」は、イラン・イラク戦争が舞台。未婚の男女が、話すらすることができない「イスラム世界」にあって、ほのかな恋心を募らせる若いカップルが主人公。会えるのは、モスクにお祈りに行くわずかな時間だけ。もちろんプラトニックな関係だが、そんな“小さな幸せ”も戦争に引き裂かれてしまう。

 著者はイラン出身。“非漢学圏”の作家として初めて「文学界新人賞」を受賞、この作品で芥川賞候補にもなった。
中東を舞台にした短編2作。戦禍に翻弄される人々の姿に、胸を打たれる。世界で起きていることに無関心で、ひたすら惰眠をむさぼっている日本の若者にぜひ読んでもらいたい。

いずれも凄い作品です。凄い=素晴らしいなのか、圧倒されるのかは読む人による。

掲示板にも書きましたが、次の作品も強く勧めます!


「千の輝く太陽」( カーレド・ホッセイニ著 )
「君のためなら千回でも」(カーレド・ホッセイニ著)  
「テロル」 ( ヤスミナ・カドラ著 )
「カブールの燕たち」(ヤスミナ・カドラ著)


Clean

11月28日(土)   Clean    オリヴィエ・アサイヤス監督

Clean.jpg    Clean2.jpg






ロックスターとして名を馳せてきたリーと、その妻で歌手として成功することを夢見るエミリー(マギー・チャン)。彼らの間にはジェイという幼い息子がいたが、今はバンクーバーに住むリーの両親に育てられていた。所属するレコード会社の件で激しい口論をしてしまったある日、エミリーはドラッグの過剰摂取によりモーテルで死んでいるリーの姿を発見する。一部の友人とリーの母親は、事故を防げなかったエミリーを責めた。6ヶ月後、エミリーはもう一度全てをやりなおそうと、かつて住んでいたことのあるパリへと向かった。「息子を取り戻すためにはなんでもする」。そう決意はしたものの、遠くへ逝ってしまった愛する人の残像、引き裂かれたプライド、捨てきれない歌手の夢…、様々な想いが交錯し、望んだ仕事を得ることも、息子と一緒に暮らすことも出来ずに、彼女はまた、ひとりになってしまった。また大切な人を失うかもしれない、昔の友人たちはもう助けてくれないかもしれない、夢は二度と叶わないかもしれない…。自分の人生を優先させてきた代償がエミリーを容赦なく襲う。そんな中、義父のアルブレヒト(ニック・ノルティ)が息子のジェイを連れてロンドンのホテルに滞在しているという知らせを受けたエミリーは、何とか思いを伝え、たった2日だけ、息子とのデートを楽しむ機会を得る。バイクにまたがり動物園へ向かうエミリーとジェイ。しかし数年ぶりに再会したふたりは、距離が縮まった途端、思いがけず衝突してしまうのだった。「僕はママを愛してないし、愛されてもいないんだ」。格好悪くてもいい。絶望から必死に這い上がり、もう一度「ふたり」のためにやりなおしたい…。これは、いつか息子と暮らせる日が来ると信じ続けた母と、幼いながらも母と向き合おうとした息子の、再生の物語。

 <大きな感動を呼んだ『夏時間の庭』のオリヴィエ・アサイヤス監督最高傑作が遂に公開決定! 失った絆を取り戻すため、生まれ変わることを誓った母。これは、ふたりが歩みはじめた新しい人生。>
『夏時間の庭』を見た後だけに、是非観たいと思っていた作品です。第57回カンヌ国際映画祭主演女優賞を得ているマギー・チャンの演技も期待しつつ見ました。

エミリーは決して完璧でなく、欠点がいくつもある女性です。そんな彼女でも夢をあきらめない、信念を捨てない、だからこそチャンスにもめぐりあえるのです。(オリヴィエ・アサイヤス)
人に嫌われても、自分で納得する生き方がしたいというエミリーの気持ちに共感。(マギー・チャン)
こんな言葉でまとめられるのかな。、「変わること」(=勇気)と「信じること」の大切さが伝わってくる。
 

プロフィール

やまさん

Author:やまさん
 趣味はいろいろあるのですが、時間とお金の使い方が巧くいかない。
(時間があるときに限って、お金がなかったり)
映画鑑賞、読書(映画の原作を先に読むことも多い)
登山(ハードな山登りもこなすために日頃のトレーニングで汗をかく)
釣り(防波堤や浜での海釣り)
コンピュータのソフトを使い、書籍や雑誌、切り抜きの整理・・

 気軽に何でも書き込みして下さい(場所も気にしないでいいです)。

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