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小説よりも・・・

12月16日(木)  「わたしは英国王に給支した」 ボフミル・フラバル著

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 いつか百万長者になることを夢見て、ホテルの給仕見習いとなったチェコ人の若者。まず支配人に言われたことは、「おまえはここで、何も見ないし、何も耳にしない。しかし同時に、すべてを見て、すべてに耳を傾けなければならない」。この教えを守って、若者は給仕見習いから一人前の給仕人となり、富豪たちが集う高級ホテルを転々としつつ、夢に向かって突き進む。そしてついには、ナチスによって同国の人々が処刑されていくのを横目で見ながらドイツ人の女性と結婚。ナチスの施設で給仕をつとめ、妻がユダヤ人から奪った高額な切手で大金を手に入れる―中欧を代表する作家が、18日間で一気に書き上げたという、エロティックでユーモラス、シュールでグロテスク、ほとんどほら話のような奇想天外なエピソード満載の大傑作。映画『英国給仕人に乾杯!』(*)原作。

 五章からなる小説は、「これからする話を聞いてほしいんだ」-「満足してくれたかい? 今回はこのあたりでおしまいだよ」という文章が章の前後に置かれているため、五つの連なった物語としても読める。最後の章は、フラバルの<意識下にあるものが最大限に表出さていて>感動的であった。激動の時代に、チェコ人として生きたフラバルの様々な体験からこのような作品が生まれた。1939年、チェコがナチス・ドイツの保護領となった頃、鉄道員としての体験が映画化もされた『厳重に監視された列車』に見ることができると書かれていたのも気になる。さらに、1952年、製鉄所で頭に負傷し長期にわたる入院生活を余儀なくされる。そして、肉体的負担がより少ない古紙回収所で働き始める。そのときの体験が「あまりにも騒がしい孤独」に活かされる。読んでみたくなりました。

 (*) イジー・メンツル監督により映画化され、2008年に日本でも公開された。


12月19日(日)  「マイトレイ」  ミルチャ・エリアーデ著

 インドの大地に身を委ねた若き技師と下宿先の少女が、タブーを超えて惹かれ合う悦楽の神話と、妻の心変わりを察した男の視点で壊れゆく夫婦の関係を緻密にたどったイタリア文学の傑作。
 タブーを超えて惹かれ合う若き男女の悦楽の神話。瑞々しい大気、木に宿る生命、黄褐色の肌、足と足の交歓。インドの大地に身をゆだねた若き技師が、下宿先の少女と恋に落ちる。作者自身の体験をもとに綴られる官能の物語。

 <学位論文のためのヨーガ研究にインドへ旅立ったのがエリアーデが21歳の時。インドに魅了された若い学究はそのシンボルのような女性に恋をする。帰国後、懸賞小説に応募するためにその悲劇的恋愛体験を書く。受賞した作品がベストセラーになったのが26歳の夏だった。><彼はサンスクリット語と哲学をスレンドラナート・ダスグプタの下で研究するために、カルカッタまで船に乗った。ダスグプタは、ケンブリッジ大学を卒業したカルカッタ大学のベンガル人教授であり、『インド哲学史』(全5巻)の著者であった。エリアーデはダスグプタ教授の娘マイトレイと恋に落ち、結婚を望んだが、ダスグプタに反対され実現しなかった。>
 <1972年、コルタカにマイトtレイを訪問したセルジュ・アル・ジョルジュが小説『マイトレイ』のことを説明した。自分が毎晩エリアーデの部屋に通ったなどと書かれていると聞いてマイトレイは激怒したという。だが事情を知るコーカを問い詰めて、彼が隠していたエリアーデのヒマラヤからのマイトレイあての手紙を読み、エリアーデの真意を知り、裏切られたのではなかった、父にだまされていたのだと知る。42年前の過去が鮮烈に蘇った。><異常心理状態に陥ったマイトレイは、それを解消するには小説『マイトレイ』をマイトレイの立場から書き直すしかないと考えた。それがベンガル語で書かれ、1976年に英訳が出た『愛は死なず』である。>

 本の解説やエリアーデのことを調べていて意外な事実などを書き連ねてしまった。

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 12月24日(金)  「軽蔑」  アルベルト・モラヴィア著

 ある日突然、妻の心変わりを察した劇作家志望の男。繕うすべもなく崩れていく夫婦の関係を夫の目から緻密に描き、人生の矛盾と人間の深い孤独を問いかけるイタリア文学の傑作。
 モラヴィアは登場人物のふるまいを綿密に書く。心の動きはちょっとした言葉や手の動きに表れる。小さな行き違いから夫婦の仲が冷えてゆく。妻は夫を軽蔑し、見放し、心の距離は広がる。その過程をこんな風にまざまざと具体的に書ける作家は他にいない(池澤夏樹)

 <モラヴィアは生涯を通じて3人の女性を妻にしたが、最初の妻となったのが作家エルサ・モランテであった。夫婦としての生活を25年過ごした挙句に、結局は離婚するしかなかったのだが、1985年にモランテが死去するまでは、モラヴィアはこの妻の性癖について語ることはなかった。>
 <モラヴィアはモランテを愛し、その作家としての力量は高く評価しているが、その無類に強烈な個性はもてあまし気味、というより文字どおり辟易している。二人の関係は次第に冷えてゆく。こういう状況の中で、モランテに愛人がdきる。相手はイタリア映画界の巨匠、ルキノ・ヴィスコンティである。こうしてモランテは朝になるのを待ちかねるようにしてヴィスコンティの館へ出向いて行き、まるまる一日をそこd過ごして、夜更けて帰宅するという生活が始まる。その時刻にはすでに就寝している夫モラヴィアのベッドの端に腰かけて、モランテはヴィスコンテ邸でのその日の出来事、愛人の情熱のさまを詳細に語って聞かせる。モラヴィアはそれをじっと黙したまま聞いている。>

 「軽蔑」の主人公の一人、リッカルドは、妻の願望に応えるために高額のアパートを買い、その代金を捻出するために心ならずも映画のシナリオを書こうとしている。おして、その仕事のために美しい妻エミーリアを無意識にしても利用しようとし、プロデューサーに対して追従と覚しい態度をとる。それが結局は妻の軽蔑を招く。エミーリアはいっさいの説明を拒む。それを求めて、リッカルドは果てしなく語る。彼は錯乱してるのか、現実が狂ってるかわからなくなり夢想に耽ってるとき、エミーリアはプロデューサーの運転する車の事故で死ぬ。
 何も解決出来ぬまま小説は終わる。上述の事実関係が想像を助けてくれる。幻想の中でエミーリアと和解する場面が印象的でした。

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Author:やまさん
 趣味はいろいろあるのですが、時間とお金の使い方が巧くいかない。
(時間があるときに限って、お金がなかったり)
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登山(ハードな山登りもこなすために日頃のトレーニングで汗をかく)
釣り(防波堤や浜での海釣り)
コンピュータのソフトを使い、書籍や雑誌、切り抜きの整理・・

 気軽に何でも書き込みして下さい(場所も気にしないでいいです)。

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