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4月の本2冊

4月21日(木)         「夜想曲集」      (カズオ・イシグロ著)

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 ベネチアのサンマルコ広場を舞台に、流しのギタリストとアメリカのベテラン大物シンガーの奇妙な邂逅(かいこう)を描いた「老歌手」。芽の出ない天才中年サックス奏者が、図らずも一流ホテルの秘密階でセレブリティと共に過ごした数夜の顛末(てんまつ)をユーモラスに回想する「夜想曲」を含む、書き下ろしの連作五篇を収録。人生の黄昏を、愛の終わりを、若き日の野心を、才能の神秘を、叶えられなかった夢を描く、著者初の短篇集。

 各編には色々な「音楽家」が登場する。往年の大物歌手、無名のバックプレーヤー、夢を諦(あきら)めてスターと結婚した女……。そこに、夫婦、病院の患者同士、師弟など、こじれたりねじれたり、一風変わった男女関係が絡む。元共産圏のギタリストは、ベネチアで舟に乗って妻にセレナーデを捧(ささ)げるという米国男に伴奏を頼まれ、定職のないジャズ好きは、裕福な友人夫婦の仲直りのため夫の引き立て役にされ、サックス奏者は売れるためにハリウッドで整形手術をする。短絡的と言えば言えるだろう。必死さゆえの人間の滑稽(こっけい)さを、作者はドラマチックな起伏を作らず素っ気なく描く。よく出来たオチもない。むしろ長編の呼吸や余韻に近く、一編ごとに深い充足感が得られる。

 どの話にも共通しているのが夫婦間もしくは男女間の危機である。たとえば、第3編「モールパンヒルズ」に登場する音楽家夫婦は、目指す音楽の違いから仲が険悪になりつつある。旅行中に若いころのイシグロを連想させるようなシンガーソングライター志望の若者と出会い、その歌から一瞬の安らぎをもらう。第2編「降っても晴れても」では、いまは外国で英会話教師をしている五十近いジャズ大好き男が、大学時代の親友夫婦の間に生じた波風を静めようと悪戦苦闘するし、第4編「夜想曲」では、才能はあるが醜男のr¥テナーサックス吹きが、去っていった妻を取り戻そうと整形手術を受け、回復中に隣室の患者とホテル内を探索して回る。この二作はドタバタ喜劇的な要素が含まれている。
 他の4編と違って夫婦は登場しないが、結婚を望む求愛者から逃げてきて、ひっそりとホテルに隠れている自称チェロ奏者の大家がいて、若いエリートチェリストに個人指導をする。

 

5月4日(水)     「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」     (ポール・オースター編)

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 爆笑もののヘマ、胸を締めつけられるような偶然、死とのニアミス、奇跡のような遭遇、およそありえない皮肉、もろもろの予兆、悲しみ、痛み、夢。投稿者たちが取り上げたのはそういったテーマだった。世界について知れば知るほど、世界はますます捉えがたい、ますます混乱させられる場になっていくと信じているのは自分一人ではないことを私は知った。オースターが全米から募り、選んで、編集し、「アメリカが物語るのが聞こえる」と感動した、180の実話。
 
 地方紙の本の紹介があった。<自分探しに疲れた人へ> <どんな人生にもドラマがある>
『集められた物語は米国庶民の生活や人生という大河の中でキラリと光る砂金のようだ。読み進めながら、思わずクスッとしのび笑いをもらしたり、電車の中であやうく涙をこぼしそうになったりした。記録を更新するような「偉大な」事象ではないが、静かに心に刻まれるエピソードの集まりである。
 この本を読み終わったとき、あなたはふと思い出すかもしれない。幼かった日のできごとや、おじいちゃんに聞いた話を。そして、思うだろう。「自分の物語もまんざら悪くない」と』(宮崎 恵理)

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Author:やまさん
 趣味はいろいろあるのですが、時間とお金の使い方が巧くいかない。
(時間があるときに限って、お金がなかったり)
映画鑑賞、読書(映画の原作を先に読むことも多い)
登山(ハードな山登りもこなすために日頃のトレーニングで汗をかく)
釣り(防波堤や浜での海釣り)
コンピュータのソフトを使い、書籍や雑誌、切り抜きの整理・・

 気軽に何でも書き込みして下さい(場所も気にしないでいいです)。

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