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暗闇の楽器

8月4日(土)     暗闇の楽器 (ナンシー・ヒューストン著)

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 「現代のマンハッタン/暗黒の中世フランス 二つの世界が時空を超えて交錯する 奇跡のパラレル・ストーリー」 あの『時のかさなり』の感動が再び味わえるかと読んでみた。

 この作品は、現代のニューヨークに住む五十歳を間近に控えた女性作家ナディアが、アルコールに溺れる父ロナルド、家族のためにヴァイオリニストとしてのキャイアを捨てた母エリザとの葛藤や二人に対する複雑な思い、恋人や夫との無残な別れ、唯一の理解者ステラとの交流などを書き綴る日付入りの手記『スコルダトゥーラの手帖』と、それと並行して執筆する、十七世紀のフランス中部ベリー地方を舞台にした、身よりなき双子の兄妹バルナバとバルブの奇しき運命をたどる小説『復活のソナタ』の二つのパートから構成され、この二つの世界がパラレルに展開する。ナディアがダイモーンに導かれて、<いま><ここ>から<あのころ><彼方>にひとっ飛びするように、読者はヒューストンに導かれ、時空を超えてナディアの現実世界と想像の世界を往還する旅に出ることになる。(訳者あとがきより)

 本書の原題は、シェイクスピアの『マクベス』に登場する表現 instruments of darkness のフランス語訳。instrument は器具・道具・楽器・手段・手先など多くに意味を持つ。『マクベス』の邦訳では、「地獄の手先ども」「闇の手先ども」と訳されてる。

 家族の不協和音のなかで育ち、困難にまみれるナディアは、この世のあらゆる現実を拒絶するが、そうした行きにくい生を書き綴ることによって自らの来し方を客観的に見つめ、少しずつ受け入れるようになる。自らを「無(ナダ)」と呼んでいたヒロインは主体を取り戻し、最終章で、自分の名前は<わたし>=I(アイ)のない Nadaではなく Nadia であると、ダイモーン(内なる声)に高らかに宣言する。
 現実と悪戦苦闘しながら生きる意志を掴み取っていくプロセスに、ヒロインの人間的な魅力が現れている。
 (訳者あとがきより)

 ナンシー・ヒューストンの独得の手法が冴えた作品になっている。『愛と創造の日記』や『ゴルトベルグ変奏曲』などの作品も読んでみたくなる。


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 趣味はいろいろあるのですが、時間とお金の使い方が巧くいかない。
(時間があるときに限って、お金がなかったり)
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登山(ハードな山登りもこなすために日頃のトレーニングで汗をかく)
釣り(防波堤や浜での海釣り)
コンピュータのソフトを使い、書籍や雑誌、切り抜きの整理・・

 気軽に何でも書き込みして下さい(場所も気にしないでいいです)。

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