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読書いろいろ(11月上旬)

11月1日(木)    「アンネ、わたしたちは老人になるまで生き延びられた」  (テオ・コステル著

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 「つらい記憶を振り返り続けることには、どんな意味があるのだろうか。著者のテオ・コステルは、オランダ・アムステルダムのユダヤ人中学校で、あのアンネ・フランクの同級生だった。戦後、イスラエルに移り住んだ彼は、これまで多くの学校に子どもたちを訪ね、自らの戦争体験を語ってきた。‥‥」
こんな書き出しで<記憶語り継ぐ同級生たち>と地方紙の今週のおすすめ本として紹介されていた。(9/24)

 「もうひとつの『アンネの日記』」を読んだり、その映画化作品(「アンネの追想」)をみてから読んでみたくなった。 著者のテオ・コステロは、オランダがドイツ軍に占領されたとき、父親が祖父母に関する書類をきちんと書かなかったので、誰とも分からない役所の職員が勝手に祖父母4人のうち二人がユダヤ人で、残り二人が非ユダヤ人と書いたために、テオの身分証明書にはユダヤ人を表す「J」の字が押されなかったという。

 2008年、ドキュメンタリー映画『アンネ・フランクのクラスメート』が完成した。一年半にわたってメールのやりとり、インタビュー形式の本の内容など、戦火にいきる子供たちの個人的な思いが伝わってくる。2009年のイスラエル、2010年のオランダのテレビに放送されたそうだ。私たちが見れる機会はいつになるのか。


11月8日(木)         「ブルックリン・フォリーズ」 (ポール・オースター著)

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 ポール・オースターは、「自分の人生が何らかの意味で終わってしまったと感じている男の物語」を5作続けて発表した。本書はその3作目にあたる。この本は、オースターの作品の中でももっとも楽天的で、喜劇的要素が強い作品であると知って読んでみることにした。

 訳者自身があとがきに書いていた内容に同感だったので紹介しておきます(一部抜き書き)。
「それなりに違っている人同士がそれなりに共存しあっている街の空気から滋養を得て、冒頭では死ぬのを待っているだけだった語り手ネイサンは、以外にストレートな”成長”を作品内で遂げる。そして、何だかんだ言ってもいくつかの人生の修復を助けさえする。人間、何歳になってもまだ成長発展の余地はあるという思いを、よい物語を通してユルく伝えてもらった。」

 

11月9日(金)         「ゼラニウムの庭」 (大島真寿美著)

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 「おそらく、信じてはもらえまい。こんな話、信じるほうがおかしい。でも、たしかに彼女はそこにいる――
双子の妹は、その存在をひた隠しにされて育てられた。秘密の存在は、それを知る人々に、何もなければ意識せずに済んだはずのことを見せつけ、深く、大きな影響を与えていく。生きることの孤独と無常、そして尊さを描き出す物語。」
 この本の内容説明です。2012年本屋大賞第3位の『ピエタ』も気になるがこちらから読んでみることにした。
本のラスト近く、140歳を超えた双子の妹・嘉栄(かえい)の思いからメッセージが伝わってきた感じがする。物語の設定も少し難はあるが、一人の人間が捉えた年代記となるとこんなのもありかと。

 「人が賢いのか愚かなのか、私にはわかりません。もっともっと賢くなれる気もするし、これが精一杯なのかという気もする。愚かな麺を少しずつ克服してきたようにも見えるし、たいして変わっていないようにも思う。見方を変えればいかようにもおもえるのだからこんなことはいくら書き連ねてもイミのないことなのでしょう。
 汚染はひろがり、自然派h会され、資源は枯渇し、ついには食料すら奪い合う始末。国が溶解しつつあるのに、まだそれを捨てられない。通貨が混乱し、制度が疲弊しても、まだ大丈夫と幻を信じている。
 もっと長い目で見ればいいのに、と思っても、それはきっと私だから言えることなのかもしれませんね。人は意外なほど、命の長さに縛られているのかもしれない。見渡せる距離はそれほど大きくはならない。」



11月12日(月)   「北西の祭典」 (アナ・マリア・マトゥテ著)

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 「旅芸人ディンゴは、故郷の町を通りかかったおり、子供を馬車で轢き殺して、警察に拘束される。ディンゴは、幼なじみの大地主フアン・メディナオに、助けを求める。そこから、一転して著者の視点と関心はフアンに移り、その幼時からの思い出が、綴られていく。ことに、父親が使用人に生ませた異母弟、パブロ・サカロとの確執が、緊張感を高める。内戦以来の、スペインの社会状況を知っていれば、フアンとパブロの生き方が何を象徴しているか、容易に想像できるだろう。
 しかし、そうした背景を知らなくても、この小説を読むのに、いっこうに差し支えはない。骨肉の争い、個人と集団の戦い、美と醜の対立といった、人間社会に普遍的なテーマが、そこに力強く描き出されているからだ。著者のレトリックは多彩で、比喩表現はまことに新鮮というべく、生なましい皮膚感覚がある。 
こうした小説を、閉塞(へいそく)感に満ちた50年代前半、30歳に満たぬ若い女性が書き上げたことに、驚きを禁じえない。」(6/24)
 
 「主人公フアン・メディナオが頑迷固陋な権威主義者、典型的な地主階級に属する人物であるのに対し、異母弟のパブロ・サカロは、旧弊な伝統や風習を打破し、自らの力で人生を切り開いていく進取の気性の持ち主として描かれている。私たちはそこに、市民戦争において雌雄を決することになる二つのスペインの激しい相克のドラマを重ね合わせることもできる」(マトゥテの言葉)

 短い作品なのに内容の濃い作品でした。幅広い創作活動で国内の主だった文学賞を手にしただけでなく、ノーベル賞の有力候補と目されることもしばしばであった。他の作品も読んでみたくなりました。そして、<セルバンテス賞コレクションの作品も気になりました。

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Author:やまさん
 趣味はいろいろあるのですが、時間とお金の使い方が巧くいかない。
(時間があるときに限って、お金がなかったり)
映画鑑賞、読書(映画の原作を先に読むことも多い)
登山(ハードな山登りもこなすために日頃のトレーニングで汗をかく)
釣り(防波堤や浜での海釣り)
コンピュータのソフトを使い、書籍や雑誌、切り抜きの整理・・

 気軽に何でも書き込みして下さい(場所も気にしないでいいです)。

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