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1月の読書その後

  1月28日(水)  「カブールの燕たち」 (ヤスミナ・カドラ著) 早川書房

  タリバンに統治されたアフガニスタンの首都カブールは、まさにこの世の地獄。廃墟と化した町では私刑が横行し、人心は荒廃していた。アティク・シャウカトは、公開処刑される女囚専用の拘置所の看守。その妻ムラサトは不治の病に冒されている。昼は死刑囚の、夜は病気で苦しむ妻の世話をする日々はアティクに重くのしかかり、彼は心身ともに疲れ果てている。友人は離縁を薦めるが、命の恩人である妻を棄てることは……。
 もうひと組の夫婦はモフセンとズナイラ・ラマト。モフセンはブルジョア出身、ズナイラは名士の娘で女性解放のために闘う司法官だったが、二人とも今は職を失っている。
 <だがやがて、アティクは夫殺しで死刑を宣告された美しい女囚に一目惚れしてしまう。女を救おうと右往左往し、やつれていくアティクを見て、彼の妻は驚くべき提案をするのだった。 >
 普通の人々が普通に夢を見て理想を抱いて生きることを許されない世界で、「奇跡」は起こるのか? 「よどんだ沼に睡蓮が花開くように生まれた」この物語の中で、たしかに奇跡は起きたのだと思うようになった。(訳者あとがきより) 不思議なそして凄い奇跡の物語を読むことができた。 
 この本は、カドラが中東、とくにイスラム原理主義を描く三部作の第一作目にあたる。第二作目の「テロル」も読む予定です。           
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 2月4日(水) 「メモリー・キーパーの娘」 (キム・エドワーズ著) NHK出版

 1964年冬のある大雪の夜。医師デイヴィッドははじめてのわが子ー双子ーをその手で取りあげた。ひとりは元気な男の子だったが、続いて生まれた娘のほうはダウン症だった。彼はとっさに娘を施設に預けてほしいと看護師キャロラインに頼み、妻には死産と告げた。しかしキャロラインは赤ん坊をみずから引き取ることを決意する。デイヴィッドのついた嘘から家族の歯車がしだいに狂いだす一方、キャロラインは娘フィービを中心に強い絆で結ばれた家庭を築き、やがてふたつの家族の運命が交錯していく。
 流れを無理にでも押し留めようとするデイヴィット、流されても必死に前に進む妻ノラ、自分の道を見つけようともが子ポール。そんな流れとは離れた天真爛漫に笑うフィービ、悩みながらも彼女を支え続けるキャロライン。家族とは、人生とはなにかを25年という長い年月に編み込まれていく・・・。
 デイヴィット自らがつぐないを果たすことなく亡くなりますが、ラストはこんな文章で終わる。<ポールはそのとき気づいた。フィービの指の爪がとても短く切ってあること。・・・。妹の手は小さい。葉はそっくりだ。彼は草を踏んで彼女に近づき、肩に手をおいた。さあ、家に帰ろう。

 2月7日(土)  「みんな、同じ屋根の下」 (リチャード・B・ライト著) 行路社


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 副題に<サンセット老人ホームの愉快な仲間たち>とある。昨年の 8/24の朝日新聞に久田恵(ノンフィクション作家)の紹介があった。興味深い紹介であった。
 主人公のケイ・オームズビー。記憶力の減退におびえながらも、文学や音楽を愛し、時に、ひとり詩を朗読する。何点はやめられない煙草。就寝前のウイスキー。これは眠りを誘う妙薬か。物語は、その彼女がホームに入居してからのわずか一か月を描いている。
 「記憶とは過ぎ去ってしまったものではなく、それぞれの心身に刻まれたもの。老いとは、そのたくさんの記憶の<私>とともに生きていくことか」 (久田)
 「誰にはばかることなく、勝手に、はらはら、どきどき生きればいい。人生には、老いた分だけ、甘い記憶もすっぱい記憶も、いろいろとりそろっているから、はたから退屈そうに見えても、きっと退屈なんかしないのだろうな。」 (久田)
 深刻なテーマを含みつつも、愉快な物語です。

「滅びゆく肉体の衣のほころびが 一つふえるたびに/さらに 声を高くして歌うことだ」
(冒頭の W・B・イエーツの詩)

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Author:やまさん
 趣味はいろいろあるのですが、時間とお金の使い方が巧くいかない。
(時間があるときに限って、お金がなかったり)
映画鑑賞、読書(映画の原作を先に読むことも多い)
登山(ハードな山登りもこなすために日頃のトレーニングで汗をかく)
釣り(防波堤や浜での海釣り)
コンピュータのソフトを使い、書籍や雑誌、切り抜きの整理・・

 気軽に何でも書き込みして下さい(場所も気にしないでいいです)。

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